連載第三回

 今日は早朝の関西汽船に乗ったので、前夜からバハマを集合場所にしていたし、ゲストのファンの方達の仮眠所にしていたので、二十四時間以上寝ていない。
 船が出たら寝れると思ってたけど、船上ライヴとかで、横になろうとしたら後十五分で小豆島につき増すって事だったし。
 ボーっとしながらプレゼンスカーに乗っていると、何か忘れ物をしたような。なんだろう。あっ、私の娘が居ない。何処で忘れてきたのだろう? メンバーに「ごめん、忘れ物!!」と叫んで、引き返してもらった。山頂だろうか……ま、まずい。と思いつつメンバーの民宿に戻ると、魔女卵の部屋で3歳児の娘はすやすや。ううむ。根性のある奴だ。でもって、忘れ物も回収し、順調に私の民宿へ。途中、プレゼンスの茂君が「お姉さん、腹減ってません?」と……。
「え?君ら何も食べてへんの?」
「いや、夕方、弁当食べましたけど……」
「私は……え? いつ食べたっけ?」
 考えてみると前日の夜、バハマで、オニギリをつまんでから、かれこれ、何も食べてなかった。民宿に着いてそおっとドアを開けてみると、民宿の人が眠そうな顔をして出てきてくれて、夕食付きだったけど、遅いので、処分したとのこと。「当然ですよ、すみませ〜〜ん」
 と謝りながらも、しっかりこの辺で食物を手に入れる方法を聞いた。港まで出ると、カップヌードルの自販機があるとのこと。お湯だけ用意してもらって、やっと皆で夜明けのラーメンを啜る。どうせ、各バンドのメンバーも腹を空かせているだろうと思って、自販機のあるだけのカップ麺を買い占めてプレゼンスのメンバーに持たせて帰した。
 その後が大変だったらしい。やっぱり食べ盛りの奴等だけあって、かなり酷い麺争奪戦があったという。お湯とかどうしたのかと思って聞くと、お風呂のお湯を使ったとか。(-_-;) ああ、サバイバル青春。
 ともあれ、やっと藤田はお休みです。うとうとと思っていたら私の肩を揺する奴が居る。さては夜ばいかと思ったら民宿の人で、電話がかかってきているという。寝起きの超悪い私の事、「何時だと思ってるんですか?六時前じゃないですか?!」と、取りあえず民宿の人に噛みつく。いや、すみません。
夜中の四時頃来て、それはないよねえと他人事のように思いながら電話に出る。田代君(プレゼンスRM)からだ。山頂に残してきた、ファンの人たちが是非海水浴へ連れてってー、と何度も電話があったそうな。そう、まわりは、海だ。夏だ。大阪に帰る船は夕方に乗ればよかったので、田代君にひとけの無い海水浴場の場所を民宿の人に聞いてもらって、バハマ組、一路海水浴です。
 何て盛りだくさん。夏のフルコース「船」「野外ライヴ」「金魚すくい(?)」「花火」……「海水浴」ときたかあ?
 具合良く、ほんとにひとけのない海水浴場があって、海の家は一軒だけ。2〜3人の家族連れしか居ないひなびたオアシスに水を求めてほろ馬車隊はよろよろ辿り着く。
 あっと言う間に浜は色とりどりの髪の毛で埋まる。
 う〜ん、似合わない。
 ハードロッカーに海水浴は似合わない。
 今度は海の救難活動員になった藤田は、死体があがらないか見張っているとギョギョギョッ!
 海坊主が居る。
 何匹も居る。
 近寄ってくる。いつでも逃げ出せるように2〜3歩後ろへ下がりながらよく見ていると、だんだん、人の形をとり始めた。ふぅ。恩田君や茂君やその他金髪組だ。平泳ぎをしていると、金髪が水に透けて、ノーメイクに併せて凄いことになる。う〜ん、残念。緑色の毛の子がいたら「スイカ割り」も出来たのに。
 漫画家の多田かおる氏の悲鳴が上がる。
「白田君が、溺れてま〜す!!」
 どれどれ。
「あ〜、大丈夫ですよ〜〜。それはね〜〜、田代君と白田のボディランゲージですよ〜〜。ほら〜〜、ナハナハ笑ってるでしょ〜〜!」
多田氏「ゲホゲホ苦しそうなんですがー〜〜!!
藤田「笑ってるんですよ〜〜」

多田氏と田代君と白田

 とぼけた叫びあいの間も太陽はちりちりと肌をさし、きらめく水滴を透かして皆の青春がはじける。
 はじける青春の断片。
 思い出の中の皆はまんまの姿で笑っている。
 元気いっぱいはしゃいでる。
 人生は、祭りだワッショイ!



みんな、元気いっぱい!集合写真砂浜で

《完》